何だよ、勝手にやっといてその顔は……。
こっちの方がはるかに恥ずかしいんだけど。
心臓が、おかしな音を立てている。
妙な雰囲気を察したのか、渚が頑張って口を開いた。
「あ、あとは……胸の傷?」
「って、まさか……」
「同じようにさせてもらえれば、痛みが引くから……」
「ままま、待てっ!大丈夫、全然痛くねぇからっ!」
うぐっ。
大きな声を出したら、傷に響いてしまった……。
「コウくん、大丈夫?」
「だ、大丈夫……お前、そんな事できたのか」
「ん……。
何となくやってみたら、できたの」
渚は、こくりとうなずいた。
「まさか、雅や健太郎にも……」
聞くと、今度はぷるぷると首を振った。
「雅も健ちゃんも、応急処置には、手をあてたの。
急いでたから。
コウくんもだよ。
でも手だと、一気に霊力が出ていっちゃうから、しんどいの。
今あの二人は、それぞれの家で休んでるよ」
「無事なのか……」
「うん。二人とも、命に別状はないよ」
「そっか……良かった……」
安堵のため息が漏れる。
話すうちにやっと、二人の妖と戦って、傷を負った事を思い出した。
「気を失ってから……どれくらい経つ?」
「3日」
「3日か……どうやって命拾いしたのか、全然覚えてない……」
あの戦いを思い出すと、身震いしそうだ。
俺達は全く、敵に歯がたたなかった……。



