林の中を駆け抜けていく。
ザワザワと、木々が不吉な音を立てていた。
しばらく行くと、やがて……。
「……なんだ、こりゃ……」
廃墟となった、日本家屋が見えた。
元々人が住んでいたのだろうか。
壁は崩れ、木の骨組みがあらわになっている。
「相当古いな……」
「……しかも、ヤバイな……」
感覚をそこに集中させると。
その家の中から、前のガイコツ妖怪とは比べものにならないくらいの。
禍々しい、妖気が漂っていた。
「どうする……。
人間の気配は、ない……よな?」
「行ってみよーぜ。
空亡だったらボコボコにしてやればいい」
「そうだな、何か手がかりがつかめるかもしれないし……」
俺達が話している間も、渚はずっと俺の腕につかまってぷるぷるしていた。
そして、小さな声でつぶやく。
「……やめよぅよぉ……」
「やっぱり、ただの妖じゃなさそうか」
「うん……。いるよ、なんか……すごく、悪いもの」
俺達は顔を見合わせる。
そして、うなずいた。
行くしかない。
「渚。
もうこれ以上、妖に人間を食われるわけにはいかない。
俺達は行く。
お前は隠れろ」
「……コウくん……」
「行くぞ」
俺達三剣士の周りに、霊気が渦を作る。
それぞれが、左手に力を集中させると。
三色の光と共に、それぞれの左手から三本の神剣が、現れた。