龍神剣を手に、しっかりとにぎる。


それだけで、自分の中に新たな力の風が、吹き渡る気がした。



「皆……渚を、頼む」


「おう……コウ、早く戻って来いよ」


「これが最後の、戦いだな……」



そう言って、二人の幼なじみは、

もう起き上がれない渚を守る役目を、買ってくれた。


そして、一番苦しそうな顔のリカさんが、立ち上がる。



「私の背に乗りなさい」


「リカさん……」


「妹が、命をかけて愛した人。

私もあなたを信じて、助けるわ」



そう言うと。


彼女は体中から金色の光を放ち。


あっという間に、龍の姿に変身した。



「ありがとう……リカさん」


《いいから、行くわよ。

いい?絶対死なないのは、あなたもよ。

善女を残して死んだりしたら、許さないから》


「はい」



素直になったり、ならなかったりするリカさんの背に、

俺は飛び乗った。


「空亡!

龍神剣の力……見せてやる!!」