「渚……」



もう、この声は君に届かないだろう。


そう思っても、言わずにはいられなかった。



「君が、神でさえなければ……!」



一緒に生きる事ができた。


妻にして、本当に子を産んでもらって……。


そんな事を、誰より夢見ていたよ。



「愛してる……」



何回言っても足りない。



「愛してるよ、渚。
愛してる……」



こんな残酷な事をする私を、憎んでもいい。


それでも私の魂は、君を求めるだろう。


何度産まれ変わっても。


別の人間になったとしても。


いつか……。



「いつか、会おう。

その時こそ……。

幸せにするから……」



触れるだけの口づけを与える。


君は、私が愛した人。


その印を、刻むよ。


また私の魂が……。

私の来世がこの唇に触れた時に。


目覚めておくれ。


私が、君を守る。


その手を、もう離さないから。



「愛してる……」



身体を離すと、愛しい人は完全に、祠の中におさまってしまった。


涙が、洪水のように溢れた。


嗚咽が止まらない。


渚、渚、渚……!



愛している……!



私は、どうしても。


「さようなら」と。



言えなかった。



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