胸に、重たい石がのしかかってくるような感覚。
無意識に、喉が渇いていた。
「……尾野が、迦楼羅だって言いたいのか?」
「わかんねえ。
けど、できすぎてないか?
同じ日、同じ時間に俺達をバラバラにさせるように呼び出して、
妖達とリンクするような行動をとってる。
あいつら自身が妖かはわからないけど、玉藻に操られてたりって可能性は、ある」
確かに。
信じがたい、と言うか、信じたくないが……。
「まー、たった一日だけのことだし、俺の考えすぎかもしれねーけど。
雅は、十分注意しなきゃなって、言ってたぜ」
「その通りだ。健太郎の言う事は、矛盾してない」
肯定すると、健太郎は、
「そーだろ、そーだろ」
と、大きくうなずいた。
「あ、雅たちだ」
貯水タンクの上から、屋上の扉が開いたのが見えた。
雅と渚が昼飯を抱えて、こちらに手を振った。
「コウくーん!健ちゃーん!
ミルクパンあったんだよー!
奇跡的にげっとしたよぉー!」
渚はパンのおかげか、いつものように笑っていた。
その笑顔を見ただけで、緊張がホッと和らいでいく。
「良かったな!今行く!」
タンクのはしごに足をかけた時、健太郎がコソっと耳打ちした。
「コウ。どうするつもりなんだ?」
その声が意外に低くて、思わず健太郎の小さな顔を凝視してしまった。
「どうって?米倉達のことか?」
聞き返すと、健太郎はふるふると首を振った。



