純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

 ……あっ、そうだ。

 ふと浮かび上がった疑問を、“この際だから……”と思い、聞いてみることにした。


「昔の桐生さんは、どういう人だったんですか?」

「昔の桐生くんかい?」


 私はうなずく。すると、マスターは腕を組んで、懐かしそうに口を開く。


「桐生くんは……。私が桐生くんと初めて出会った時が18歳……19歳だったかな? それくらいの時だったから、すなわち2、3年前だね。まるで死人のようだった。今でも鮮明に覚えているよ」


 ……死人?無表情で無口っていう意味だろうか?それなら、今も対して変わっていないような気がするのだけれど……。


「何を言っても無反応で、口を閉ざしたままでね。酷い雨の中をこの店の前で突っ立っていたのさ。そのままにしていたら風邪を引くだろうし、私は彼を雇うことにしたんだよ」


 酷い雨の中を……無反応で、何も言わずに突っ立っていた?何、それ……どういうこと?この喫茶店の前に突っ立つ前に、一体何があったというの……?


「どうして、見ず知らずの人を……桐生さんを、雇う気になったんですか?」

「……なんとなく、だよ。放っておけなかったんだ、まるで死人のような彼を」

「……そうですか」