純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

「ハルカちゃんは、桐生くんと付き合い始めてどれくらい経つんだい?」

「っ?!」


 マスター!いきなり話し掛けてこないでくださいよ!ビックリするじゃないですかっ。

 ……まぁ、なるべく会話をしないようにっていう条件であって、無視をしろって言われたわけじゃないから……ちょっとくらいなら会話をしてもいい、のかな?

 っていうか、私と桐生さんは付き合っていませんから……っ!!!

 マスターはニコニコと微笑みながら、私の返事を待っているようだった。

 うん、少しくらいなら……いいよね?会話をしても……。


「私達、付き合っていません」

「そうなのかいっ?!」


 本当に驚いているらしく、マスターは両目を見開かせて唖然とした。


「はい。桐生さんからの一方的な片想いです。もう、鬱陶しいくらいなんですよ」

「そうか、そうか!桐生くんの片想いだったのか。……ハルカちゃんは桐生くんのこと、好きじゃないのかい?」


 マスターからの質問に、私は「だいっきらいです」……と、即答した。すると、大笑いをするマスター。

 ……誰が犯罪者を好きになんかなるものですか。私を誘拐して監禁した犯罪者なんかに、誰が。

 椅子に腰掛けた私は、桐生さんが頼んでくれたココアを飲む。ちょっと冷めてしまっているけれど、とても美味しく感じるのは……マスターの腕がいいからなのかなぁ。