純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

「……もう、その話はいいだろう。さっさと着替えてこい、風邪を引く」

「うぃっす!」


 司さんはマスターから受け取ったタオルで髪を拭きながら、カウンターの奥へと消えていった。

 水に濡れた床を、マスターがタオルで拭き始める。


「マスター、すみません。俺も手伝います」

「いやいや、いいよ。司くんは後でこっぴどく叱っておくから、2人は気にせずゆっくりしていきなさい」

「すみませ……──ハルカッ?!」


 マスターの手伝いとして、私がタオルで床を拭き始めたことに対し、桐生さんは目を大きく見開かせた。


「……これは、私のせいでもあります。私がここに来ていなかったら、司さんは私に話し掛けてこなかったし、桐生さんが司さんに水をかけることもありませんでしたから」

「……ハルカ……」


 桐生さんは溜め息を吐くと、積み重ねられたタオルのうちから、1枚だけを手に取った。


「桐生さん……?」

「俺も……手伝う。それと、君は悪くない。俺が怒りを抑えていれば、司に水をかけることはなかった」

「それは……」


 桐生さんになんて声をかけたらいいのか分からず、私は途中で口をつぐんだ。

 でも、私にマシンガンのように話し掛けてきた司さんをとめてくれて、嬉しいと思ったのは……嘘じゃない。