純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

「桐生センパイ、こわぁ~い!桐生センパイだから今の口調なんっすよ!普段はちゃんとした口調っす」


 うわー。この人、なんだか話し方もちゃらちゃらしている感じ……。

 司さんは私の方を向くと目をキラキラと輝かせ、私の両手を握りしめてグイッと顔を近付けてきた。


「キミ、めちゃくちゃかわうぃーじゃん!桐生センパイの彼女っすかぁ? こんな陰気臭い奴より、俺と付き合わなぁ~い?」


 ……はい?これって……もしかしなくても、ナンパっていうやつですか?


「司。うるさい」

「だから桐生センパ~イ、怖いって!ねーねー、キミ、なんていう名前なの? 俺は司!気軽に名前で呼んでね★」

「おい、司。いい加減にしろ」


 あわわわ……っ!なるべく会話はするなっていう条件だし、なんだか桐生さんは怒っているみたいだし……私はどうすればっ?!

 混乱のあまりに口をパクパクさせていると、司さんは首を傾げる。


「あれ? もしかして急すぎて名乗れない感じ? ごめんねー、俺って早口でさぁー。にしても、ホントにキミかわうぃーねー!連絡先を交換しない?」


 ──ばしゃっ。

 時が、とまったかのような気がした。

 司さんの頭から、毛先から、ポタポタと滴り落ちていく水滴。

 先程までマシンガンのように話していた司さんは、一瞬の間にびしょ濡れになり、無言になっていた。