純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

 大半が木で出来た喫茶店。見るからに落ち着きそうな雰囲気が漂う、大人たちが好みそうな喫茶店。


「ここが桐生さんの……?」

「ああ。……入るぞ」

「は、はい……」


 桐生さんの後ろに隠れるようにして中に入ると、外装通り、落ち着きそうな内装が広がっていた。

 カウンター席の奥には、白髪頭をしたおじさんがガラスコップを布で丁寧に拭いている。


「マスター、こんにちは」


 桐生さんが慣れたように声をかけると、マスターはこちらに顔を向けてニコッと微笑む。とても穏やかで、優しそうな人。


「桐生くんか。いらっしゃい。ゆっくりとしていきなさい」

「はい。……今日は、マスターが連れて来いと言っていた彼女を連れてきました」


 か、かかか彼女っ?!

 え、あ、あの、恋人を指す意味の“彼女”じゃなくて、あくまでも女性を呼ぶ時の“彼女”……ですよね?!

 っていうか、マスターは私を連れて来いって言っていたんですか……。


「おお!連れて来てくれたのかい!どれどれ……なかなかの美人さんじゃないかっ!」


 わっはっはっは!と豪快に大きな声で笑うマスター。

 ……毎回のことながら、自分は美人でもなんでもないと思うんですが……?


「名前はなんというのかね?」


 マスターに名前を聞かれて、私はその場で固まってしまう。

 桐生さんが、俺以外の人に話し掛けられても、なるべく無視をしろって……言っていたから。