純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

 周りから視線を感じたので俯けていた顔をあげると、周りの人が桐生さんのことをチラチラと見ていることに気付く。

 そりゃあ、桐生さんはモデルのような体型をしているし、綺麗……というか不思議なオーラが出ているから、視線を集めるのも無理はないと思うけれど。

 やっぱり、たくさんの人にモテたんだろうなぁ……。


「見てー!あのカップル、女の子の方はかわいいし、男の人の方はカッコイイ……!」

「いいなぁ……!稀に見る美男美女のお似合いカップルだねぇ!」


 ……え?

 まさか……と思いつつ、声のした方に顔を向けてみると、2人の女の子が私と桐生さんを見て、何やらキャッキャッとはしゃいでいることが分かった。

 ……私と桐生さんが、美男美女のお似合いカップル……だって?!

 桐生さんが綺麗なのは分かるけれど、私はかわいくないってば!しかも、お似合いカップルって……。ちょっと、ショック。

 でも、そうだよね……2人で並んで歩いていたら、カップルに見えるのも無理はないのかもしれない……。

 桐生さんの反応が気になって見上げてみたけれど、やっぱり無表情のままで……女の子たちの会話については、特に何も思っていないようだった。

 すると、桐生さんは突如、とある店の前で足をとめる。


「……ついたぞ」


 桐生さんの声を聞いて目の前にあるその店を見ると、“碧の森”と書かれた看板がかけられている喫茶店があった。