純粋に狂おしく愛してる ｰ君が私を監禁した理由（ワケ）ｰ

「俺のアルバイト先の喫茶店だ」

「えっ？！」


　ど、どうしてアルバイト先の喫茶店に行くの……？だって、今日は桐生さんのバイトの日じゃないんでしょう？

　プライベートで喫茶店に行くことはあるけれど、それでわざわざ自分のアルバイト先の喫茶店を選ぶのだろうか……？よく分からない。


「俺にとって大切な場所なんだ。……それこそ、マスターにいくら感謝しても、感謝しきれないくらいだ」

「そう……なんですか」


　桐生さんのアルバイト先の喫茶店のマスター……か。どんな人なんだろう？

　無口な人？それとも、正反対の明るい人？……まぁ、なんにせよ、桐生さんに言われた条件上、そのマスターとはあまり会話が出来ないことは確かだった。

　逃げ出さないよう、なるべく誰との視線も合わせないよう、私は何も言わないまま桐生さんの隣を歩く。

　桐生さんは背が高くて、足も長いからか歩幅も大きいため、置いていかれないように一生懸命に歩いていると……突如、桐生さんが歩くスピードを落としたことに気付く。

　もしかして、私の歩幅に合わせてくれている……のだろうか？

　それが分かると、桐生さんは誘拐や監禁をした犯罪者なのにも関わらず、不覚にも嬉しさで胸が弾んだ。