「んっ……」


 熱のせいで火照っている自分の身体に、一夜さんの冷たい唇が気持ちいい。ゆっくりと瞳を閉じて、しばらくの間、その気持ち良さに身を委ねる。


「……んぅ……っふぁ……」


 どれくらいの間、唇を合わせていただろう。やがて“ちゅっ”という音をたてて、一夜さんの唇が離れていく。

 目を開けると、そこにはやっぱりかっこよくて美しい一夜さんの顔があって、ボッと身体全体の熱が上がったような気がした。


「りお……」


 今までにあまり聞かない一夜さんの甘い声。それが耳に心地好くて、とても大きな幸福感に包まれる。

 一夜さんはのっそりと私の上から離れていき、離れ間際にまた頭を撫でた。


「いちや、さん……」

「俺は……病人に無理をさせる趣味はない。今はゆっくり休んで、風邪を治せ」

「一夜さ…」

「――プリン冷蔵庫にいれてきたよっと」


 タイミングがいいのか悪いのか、袋の中身を冷蔵庫にいれてきた司さんが私の部屋へと戻ってきた。