純粋に狂おしく愛してる ｰ君が私を監禁した理由（ワケ）ｰ

「……俺のことなんて、忘れてしまっているんじゃないか。俺に対して、恐怖を抱いているんじゃないか。もしもそうなら、消えなくては……そう、思っていた」


　そんなこと、思わない。

　桐生さんが本当は優しい人なんだって分かった時から、恐怖なんて消え失せてしまった。

　昔からも、そして今も、私が桐生さんに抱いている１番の気持ちは“愛おしい”、――ただそれだけ。


「俺は……君の想いに応えてもいいのだろうか……？君の隣にいても、いいのだろうか……？こんな俺が、君の隣にいることを望んでも許されるのだろうか……？」


　今にも消えてしまいそうな、そして途切れてしまいそうな、桐生さんの声。私は桐生さんの腕の中で、何度もコクンと大きくうなずいた。


「ありがとう……篠原さん……。本当に……ありがとう……。こんな俺を受け入れてくれて……ほん……とうに、ありが……と……」


　今にも消えそうな、そして途切れそうな声が意味していることが、桐生さん自身が泣いているからなのだと気付く。

　私はそっと、桐生さんの背中に両腕を回した。

　５年前、“私はこの人に監禁されているから”……って、桐生さんを抱きしめ返せなかったことを思い出す。