その言葉を聴いた桐生さんであろう男性は、ピタリと足をとめる。でも、振り返ってはくれない。私の呼びかけに応えてはくれない。
もしも、桐生さん似の誰かだとしたならば、自分は桐生さんという名前ではないって教えてくれるだろう。
さすがに名前まで同じの人違いなんてことはないと思うから……。
ということは、やっぱり彼は桐生さんなんだ。まぎれもない、私の知っている桐生一夜さんなんだ。
そう確信すると、急激に嬉しさが込み上げてきて、次の瞬間、私は自分の想いを口にしていた。
「私、桐生さんのことが、好きです……!」
桐生さん自身も、春香さんも、また会った時に伝えてほしいと言っていた言葉。伝えたかった想い。やっと伝えることが出来る。
長くなるかもしれないけれど、ちゃんと最後まで聴いてほしい……!
「最初……桐生さんに対しては……恐怖の対象でしかありませんでした。殺されるかもしれない……変なことをされるかもしれない……そう思うととても怖くて、早く家に帰りたいって、……ずっと、そう思っていました……」
5年前の短いながらも長い日々が、昨日のことのように頭の中を駆け巡る。
もしも、桐生さん似の誰かだとしたならば、自分は桐生さんという名前ではないって教えてくれるだろう。
さすがに名前まで同じの人違いなんてことはないと思うから……。
ということは、やっぱり彼は桐生さんなんだ。まぎれもない、私の知っている桐生一夜さんなんだ。
そう確信すると、急激に嬉しさが込み上げてきて、次の瞬間、私は自分の想いを口にしていた。
「私、桐生さんのことが、好きです……!」
桐生さん自身も、春香さんも、また会った時に伝えてほしいと言っていた言葉。伝えたかった想い。やっと伝えることが出来る。
長くなるかもしれないけれど、ちゃんと最後まで聴いてほしい……!
「最初……桐生さんに対しては……恐怖の対象でしかありませんでした。殺されるかもしれない……変なことをされるかもしれない……そう思うととても怖くて、早く家に帰りたいって、……ずっと、そう思っていました……」
5年前の短いながらも長い日々が、昨日のことのように頭の中を駆け巡る。



