純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

「しのはらさんが無事で……ほんとうに、良かった……。こんどはちゃんと……守ることができて……ほんとうに……よかった……」

「……っ」


 もう、何も言わないで。もう、それ以上は言わないで。傷口が、開いちゃう、よ……?


「桐生さんっ、あのね、私……」


 私が言おうとした瞬間、桐生さんの人差し指を立てた右手が私の口の前まで移動してきて、「それ以上は、言うな」──そう、言っているかのようだった。

 だから私はそれ以上言葉を発するのをやめ、代わりに、再び桐生さんの顔に視線を落とす。


「そのつづきは……俺が再びしのはらさんの前に……現れた……ときに、な……」


 なに、それ。なんていうか、まるで……「俺は死にます」って言っているかのような……。そんなこと、私、許さないよ……?!

 ゆらりと揺れ、地面に叩き付けられそうになった桐生さんのその右手を、私は慌てて両手で握り締める。やっぱり、冷たかった。


「でっ、でも……」

「いいんだ……。……いいんだ……」


 そう言った桐生さんは、やっぱり優しそうに微笑むだけ。何がいいのか、私にはさっぱり分からない。