純粋に狂おしく愛してる ｰ君が私を監禁した理由（ワケ）ｰ

　両手で口を押さえると、足の力が抜けたらしく、ヘナヘナとその場にしゃがみ込んでしまう。


「……あ…………あ、あ……」


　目をつむって動かない桐生さんを、自分の視界に入れた時、私の両手は自然と動き出していた。

　桐生さんを仰向けにし、重い頭をそっと自分の膝の上に乗せ、手首を掴んで脈が動いているのかを確かめると、僅かにながら動いている脈に、安堵の息を吐く。

　そして、洋佑が握っている私の鞄の中から飛び出ていた防水の携帯に手を伸ばし、救急車を呼んだ。

　ここの場所が分からず、焦っていたせいもあって早口だったけれど、救急隊さんには無事に通じたらしく、すぐにそちらへ向かうと言われた。


「きりゅっ、桐生さん！桐生さん……！桐生さんっ！」


　通話を終了させ、未だに動かない愛しい彼の苗字を何度も何度も……何度も、口にする。


「桐生さん！桐生さんっ！嫌です……死なないでください……っ！死なないで……くださ……い……。お願いですから、目を覚まして……っ！」


　目をつむったままの桐生さんの頬に恐る恐る手を伸ばすと、雨のせいか、体温は冷え切っていた。触れた指先が、その冷たさにビクリッと震える。