純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

「篠原さんを守る」

「ぐ、あっ」


 やめて……っ!


「例えこの手が、血に染まろうともっ」

「──もう、やめてくださいっ!」


 私の身体は自然に動いていた。先程より赤黒く染まっている服の桐生さんの背中に向かって飛び付く。

 絶対に痛いだろうから、痛みを我慢しているだろうから、なるべく傷付いた背中に負担をかけないよう、力をいれずに。

 桐生さんは金属バットを掴む手の動きを止め、驚いたかのように目を見開きながら首を動かし、背中に抱き着く私に視線を落とす。


「篠原……さん……?」

「もういい……もういいんです!だから、もう、やめてください……っ!」


 身体を丸めこむようにして倒れている洋佑からは、もう呻き声は聴こえてこなかった。


「なぜ……? 本田洋佑は篠原さんを傷付け、殺そうとしたのに……なぜ、本田洋佑をかばう?」

「私は……私は!誰も傷付いてほしくないんです!洋佑も……桐生さんも、傷付いてほしくないんです……」

「……」

「洋佑は……桐生さんの大切な春香さんを殺しました。人の命を奪うことは、人として許されないことです。それは分かっています。だからこそ、桐生さんには洋佑と同じことをしないでほしいんです……!」

「……篠原さん……」