純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

「え……桐生……さ……?」


 どうして、ここにはいないはずの桐生さんがここにいるの?アルバイトは、どうしたの?どうして……。

 いや、それも気になるけれど、今、洋佑が金属バット、を……振り下ろし……た、よね?

 まさか……私をかばって、くれた?洋佑が振り下ろした金属バット、背中に、直撃、した……?

 だって、だってだってだって!“ガッ!!!”って、直撃したであろう、大きな、音が……。


「無事で、良かった」


 そう言う桐生さんは微笑んでいた。私をかばって大怪我をしているはずなのに、その微笑みはまるで、なんともない私の姿を見て安心しているかのような……。

 右手で私の頭を撫でる桐生さんの後ろには、目を見開き、殺意に満ちた顔をした洋佑が、再び金属バットを振り上げていた。


「桐生さっ、うし、後ろっ……」


 震える声で伝えようと口を開くと、桐生さんは私と向き合って微笑んだまま、自らの左腕を自らの背中に回し、その左腕で金属バットによる暴力を受け止めた。

 その際、“ガッ!!!”と、また聴きたくない音が聴こえた。

 絶対に痛いで済むような問題ではないだろう。それなのに桐生さんは、平然としている。……もしかして、私を不安がらせないため?