「来ないで……!」
洋佑が立ち上がって近付いて来るのと同時に、私は後退っていく。
けれど、転んでしまっている私より歩いている洋佑の歩幅の方が断然と大きいがために、確実に私と洋佑の距離を縮めていく。
「りーお。里桜の母さん、とても心配していたんだぜ? “あの子まだ帰ってこないのかしら”、“無事だといいんだけど”、“早く帰ってきてほしいわ”……って」
「来ないで……っ!」
「自分は捜そうともしないクセに、毎日毎日来る日も来る日も飽きずに俺にそう言ってきてさ」
「いやぁ……っ」
「さっき桐生一夜が里桜の母さんを殺したって言ったけど、ごめん。あれ、ウソ」
「来ないでぇ……」
「──殺したの、俺」
「いやぁぁぁあああっ!!!」
私の叫び声に合わせるようにか、地を這うような低い音の雷がゴロゴロと鳴った。
「あまりにもしつこいし、挙げ句の果てに俺と同行して捜す~なんてウザったいことを言い出すものだから、ついカッとなって刃物で殺(や)っちゃった。いやぁ~、あのスリルはやっぱり堪らないね」
桐生さん、助けて!──なんて思ってしまう私は、おそらく桐生さんに出会う前と何も変わっちゃいないのだろう。
洋佑が立ち上がって近付いて来るのと同時に、私は後退っていく。
けれど、転んでしまっている私より歩いている洋佑の歩幅の方が断然と大きいがために、確実に私と洋佑の距離を縮めていく。
「りーお。里桜の母さん、とても心配していたんだぜ? “あの子まだ帰ってこないのかしら”、“無事だといいんだけど”、“早く帰ってきてほしいわ”……って」
「来ないで……っ!」
「自分は捜そうともしないクセに、毎日毎日来る日も来る日も飽きずに俺にそう言ってきてさ」
「いやぁ……っ」
「さっき桐生一夜が里桜の母さんを殺したって言ったけど、ごめん。あれ、ウソ」
「来ないでぇ……」
「──殺したの、俺」
「いやぁぁぁあああっ!!!」
私の叫び声に合わせるようにか、地を這うような低い音の雷がゴロゴロと鳴った。
「あまりにもしつこいし、挙げ句の果てに俺と同行して捜す~なんてウザったいことを言い出すものだから、ついカッとなって刃物で殺(や)っちゃった。いやぁ~、あのスリルはやっぱり堪らないね」
桐生さん、助けて!──なんて思ってしまう私は、おそらく桐生さんに出会う前と何も変わっちゃいないのだろう。



