純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

 洋佑の口から出る言葉たちに、聞き間違いじゃなかったんだと思い知らされる。

 ……そうだったんだ。桐生さんの前の恋人の小野町春香さんを殺害したのは、目の前にいる彼──本田洋佑だったんだ。

 春香さんが洋佑のことを愛していたのは事実だけれど、洋佑の本性を知って愛せなくなったのも事実……。

 どんな心境で「助けてください」と言ったのだろう。愛していた人から「殺す」と言われ、どんな心境で「助けてください」と言ったのだろう。

 ……疑問に思わなくても分かる、か。それが洋佑の洋佑なりの愛し方なのだとしても、春香さんからしたら恐怖の塊。怖かったのだろう……今の私と同じように。

 春香さんは“生きたまま”で洋佑とずっと一緒にいたかったんだろう。ずっと、ずっと。

 つーっと、頬に涙が伝う。雨粒と一緒に流れ落ち、本当に涙なのか確認のしようがないけれど。


「この道は滅多に人は通らない。つまり――春香を殺した時のようなヘマは、起こさせはしない」


 洋佑の口が、ニタリと歪む。


「い、いやっ」

「そうだなぁ……最初は首を絞めたかったんだけど、逃げられちゃまずいし、まずは足を折っちゃおっか。そしたら逃げれなくなるだろ?」


 怖い。ただただ、怖い。