純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー

 エレベーターには目もくれず、洋佑はエレベーターの真向かいの階段を滑るように速足で駆け降りていく。

 私は足がもつれないように気をつけることに必死で、洋佑には何も言えない。ただひたすらに階段を駆け降りていく。

 エレベーターを使わなかったのは、待つことが嫌だったからなのだろう。一刻も早くここから立ち去りたくて、階段を駆け降りることで足を動かし、少しでも遠くへ逃げた気持ちになりたかったのだからだろう。

 やがて1階に到着した私達は、バッとマンションから飛び出した。

 それにしても、洋佑ったら……本当に学校はどうしたんだろう。だって今日は平日で、本来ならこの時間、洋佑は学校にいる時間なのに……。

 学校から途中で抜け出してやって来た?それとも、ずっとこの近辺にいて、助けるその時がやってくるのをずっと待っていた?

 どちらにしろ、助けに来てくれたことが嬉しくて……。その半面、桐生さんをそのままにしてきて良かったのかが分からなくて……。

 素直に喜べないのは、事実だ。


「……洋佑っ」

「んっ?」


 走りながら、私は洋佑に話し掛ける。


「なんで、ここにいるのっ?」


 疑問に思っていたことを尋ねた。