──かくして、私と桐生さんは近くのショッピングモールへとやってきた。

 本当に徒歩で行ける距離にあるものだから、ビックリしちゃったよ。でも、ここならなんでも揃っているだろうし、便利ではあるよねっ。


「欲しいものがでてきたら、遠慮なく言ってくれ。買うから」

「あ、ありがとうございます」


 別に欲しいものがあるわけじゃないって言ったのに、一応お金は持って来てくれているんだ。

 さて、どこから見て回ろうかなぁー。どこかのブランドの洋服店が多いみたいだけれど……。

 しかも、週末だからか、人が多いみたい。はぐれたら……逃げたと思われて後々大変なことになるかな……なるよね、やっぱり。

 はぐれないように、桐生さんと手を繋げ、ば……いやいやいやっ、恋人でもなんでもないのに手を繋ぐのは、ちょっと……いや、かなり、遠慮したいです。

 ……百歩譲って袖や裾を掴むのなら、別にいいかな?よし、そうしよう。

 そっと桐生さんの裾を掴み、一緒に歩いて色んな店を見て回る。……私が袖を掴んでいること、桐生さんは気付いているのかな?

 ちらりと顔を見上げると、桐生さんは私のことを見下ろしていた。……って、気付いていたんだっ?!