「……どこか行きたいところがあるなら、連れていく」


 え、また外出してもいいの?……まぁ、前に出された条件はそのままなんだろうけれど。私が行きたいところ……私が行きたいところ、かぁ……。

 考えてみたけれど、行きたいところなんて思い浮かばない。しいて選ぶのなら自分の家や洋佑のところ……だけれど、そこだけは絶対にダメなんだろうし……。

 うーん……。


「……あっ、ショッピングモールとかはダメですか?」


 何かを買いたいわけでも、欲しいものがあるわけでもないけれど、色々な品物を見て回りたい気分かも。たまにはそういう人がたくさんいるところに行ってもいいよね?


「……何か、欲しいものがあるのか?」

「いえ、そういうわけじゃないんですが……今はそんな気分なんです」

「分かった。行こう」


 桐生さんはそう言って立ち上がり、手足の鉄枷を外してくれた。

 ……って、ショッピングモールは行ってもいいんだっ?!

 人が多いからダメだって言うかと思っていたけれど、別に行ってもいいんだ。ちょっと意外……。


「この辺りにあるんですか?」

「徒歩で行ける距離にある」


 しかもすぐ近くにあるんだっ?!