「ケントのついでに奢ってやる、かき氷」

半歩先を歩く俺と

「わっ、ありがと~!太っ腹」

後ろの梨々と、


「オイコラ耀ー!花火終わったらか・き・ご・お・り」

「わかってるっつの」

その先にいるみんな。


走るぞ、と小声で言って右足から踏み込んだ。おうよ!と能天気そうな、元気な返事に口が緩む。


火薬の匂いが混じった夏の夜の香り。少し汗ばんでいる掴んだ左手首。……それらが心地好い。


最後の大きなしだれ柳の花火が、みんなの顔を照らした。


梨々とふたり、降ってくる金色の星が照らす夜道を、駆けた。



>>fin