「んーっ! あいたたた、ねー、沙菜ぁ、このガビョウ、取れんっ」 梨帆が、私に問いかける。 私… 木崎 沙菜。【キサキ サナ】 私は、私に生まれてきて、幸せ。 …………いや、 “この時までは”幸せ『だった』と言った方が、正しいのかもしれない。 ずっと、ずっと、こんな幸せな日々が、続くと思っていた。 …、そう、 この日、この時までは――――………。