そんなことを思いながら、窓の外を見た、そのときだった。 「…お前が、木崎沙菜か」 どこからか、低く、頭の中に響いてくるような、少し掠れた声が聞こえてきた。 声のしたほうを見てみると。 「……誰…、?」 自分の少し後ろに、黒いマントで体を覆っている人物が立っていた。 顔は、見えない。見えるのは、鼻と、口だけ。 でも、多分…男。