ハルは小学校から一緒で、今も私と同じ大学に通っている程仲がいい。

優しくて、おもしろくて…昔から頼りになるハルは、

難聴の私にとっては唯一、心が開ける友達だった…


私はメールの返事を打ったあと、ハルが待っている大学へと急いだ。













――『あ。おはよー』


大学へ着くと…よく利用する中庭のベンチから、ハルが手を振っているのが見えた。

ハルは私に、手話で挨拶する…




――『おはよ!暑いねー』


ハルの隣に腰かけながら、ハルに手話で話しかける。

ハルは「暑い」と言って、手で顔を扇ぐ。




――『あ。あれ奏くんじゃない?』




ハルが遠くを指して言った。

私はハルが指差した方に目を向けると…少し離れたところのベンチに、奏の姿があった。



あの日…

奏に告白されたあの日から、もう数週間が経っていた…


あれ以来、奏とはあまり会わなくなり…連絡も減っていた。

奏は『手話がちゃんと覚えられるまで、連絡すんの控える』って言ってた…

『本気じゃないって、思われたくないから(笑)』って…


でも……




トントン


すると…ハルが私の肩を叩いた。