「え。沙和!」


俺の後ろには、沙和が立っていた。




やべ。

思わず大きい声出しちまった…



沙和はそんな俺を見て、ちょっと笑いながら、ノートにペンで書き始めた。






《偶然だね》


「……貸して」


俺は沙和からペンを借りる。




《俺ここでバイトしてるんだ。今ちょうど終わったところ》


俺がそう書いた字を読むと、沙和はまるで「へぇ〜」と言っているかのような顔をして、何度も頷いた。

俺はペンを持ち直し、ノートに書き足す。




《買い物?》


沙和にペンを渡す。



《うん。漫画をね》




沙和はそうノートに書くと、手に持っていた、ここのロゴが入ったビニール袋を俺に見せた。




漫画とか読むんだ。

好きなのかな…?





カキカキ…

《何か本買うの?》




沙和の質問に答える俺。



《サッカーの雑誌みてただけだけだよ。》

《そうなんだ》


とっさに嘘をついた。

沙和に会えたことで、サッカー雑誌は俺の頭から消えていた。