バニラ味の嫉妬


何も言わない私を突然壁に押しつけ、彼は私の首元に顔をうずめてきた。

「駿、くん?」

「誠先輩より僕の方が果保さんのこと好きなのに」


柔らかなくちびるが私の首筋をなぞっていき。

隠されていた嫉妬が露わになる。


私の鎖骨を冷たい舌が這っていく心地良い感触。

一瞬だけ、くちびるにバニラの味がした。


「駿……」

意外と広い肩に手をかけ、今度は私の方から、深く深く彼にくちづける。

甘くて可愛い彼の嫉妬をしずめるために。





─END─