「果保さんって、やっぱり誠先輩みたいな大人の男がいいんですか?」

悲しげに目をそらした彼は、ロビーを出て非常階段の方へ向かってしまう。


「待って、エレベーター使わないの?」

「ちょっと頭冷やしてきます」

人の気配のない静かな階段を、彼は重い足取りで上っていく。


2階の踊り場で彼に追いついたとき、

「僕、そんなに子どもっぽいですか」

振り返った彼が、真剣な眼差しで私のことを見下ろした。


本当は知ってる。彼が見かけよりも頼りになるってこと。

いつも私のミスをカバーしてくれるのは彼だから。