翌朝、母が布団から出ていく気配を感じて目が覚めた。 しかし、目は開けなかった。 母の優しい手が、美津の髪を柔らかく撫でる。 「美津‥大好きよ。」 そう言って、躊躇いがちに手が離れていく。 しばらくしてパタンと扉が閉まる音を聞いた瞬間、堪えていた涙が一気に溢れ出した。 「お母さん‥お母さん‥お母さん‥」 母を想って、激しく泣いた。