体育の時間は憂鬱だった。 子どもというのはずる賢い。 教師の前では、ボロは出さないのだ。 決まってそれは目の届かないところで行われる。 近々開催される運動会に向けて、各競技ごとに分かれて練習を行う、美津にとっては悪夢のような時間がやってきた。 「リレーの奴はここに集合ー!」 指定された場所に美津も行く。 彼女は走るのが得意だった。 この胸が大きくなるまでは…。 そしてもちろん自ら立候補したわけではない。 クラスの策略により、強制的にリレー選手となってしまったのだ。