何も答えず、手を引いて歩き出す。 間に流れた沈黙がまた不安にさせられた から。 やっぱり万桜は何も言わずにいる。 繋がった小さな手から、伝わるもの。 夏でも冷たいその手が、気分を重く重く していく。 「………。」 引かれて付いてくる万桜の顔さえ、怖く て見れない。 意気地無しだ。 何を怖がっている。 悪く考え過ぎかもしれないだろ。 「…潤くん。」 でも、伝わってくるんだ。 万桜の気持ちが。 一緒にいた時間が長かったからこそ、解 るんだ。 やっと俺は、足を止めた。