「まだ時間あるし、出掛けるか??」

多分まだ16時位だろう。

まだまだ日は長いし、暑い。

「うん。」

万桜は携帯を取り出す。

いったん帰ってシャワーしても、時間はあるだろ。

「あっ、……えっ。」

万桜の足が止まる。

ん??

「パパが帰って来るから、早く帰って来てだって。」

申し訳なさそうに携帯から顔を上げる。

「あ、そうなの。
…じゃあデートはキャンセルか…。」

「うん、ごめんね。
ママ何も言ってなかったのに。」

明らかに落ち込む万桜。

「いいよ、いつでもデートは出来るしさ。
たまに帰ってくるお父さんを優先しなきゃ。」

繋いだ手を一瞬離し、万桜の頭を撫でる。

そして笑顔が戻った万桜の手をもう一度握った。