「終わったって、渉の呪いは、もう」
「ねえよ何も残ってねえ。俺に楯突いたのが運の尽きってやつだわな」
聞いた事実に藤馬さん曰くの情けない面を更にくしゃくしゃにして喜んでみせた。
五歳から今まで、十二年もの月日を共にした僕のわだかまり。
末期の癌がなくなったかのようにすっきりしてしまう。もうこれで、何にも怖がらずに長生きができると心から嬉し泣きをする気分になった。
「ま、でーも。中指はなくなっても、まだ俺がてめえに呪いを――がっ」
「渉、解けたっ、解けたんだぞ!これ、これで、お前も長生きが……!もう百歳でも二百歳でも生きられる体になったんだ!」
足が思うように動けないからと、藤馬さんの上に乗って僕との距離を縮めた五十鈴さんに「はい、はい!」と感極まっての頷きをしてみせた。
はしゃいでいたんだ、要は。喜びに舞い上がっていた。


