目がひんむくほどに相応しい驚愕。腹の中にこんな異物があるだなんて――いや、そもそも、その中指は“みずみずしかった”。


胃液に溶けずふやけることもしない、丸々と太った肌色に爪まで綺麗なもので。


「あ……」


幼い頃に見つけたものを思い出す。


事の発端、桐の箱に入っていた中指の所在にいまいち確信を掴めていなかったが――あの頃からずっと、“僕の中に在ったのか”。


記憶を辿ればあの干からびた中指と似ても似つかないのに、妙な懐かしみを覚えてしまう。


水を吸った植物のように、僕の中でどんどん年月と共に“成長”していたのか。じっくり見るにはおぞましい、されども目を離せなかった代物は、藤馬さんの履き物の下敷きとなった。