中指斬残、捌断ち儀



『俺ぐらいに、救いようがない』


「……」


聞き間違えかもしれないことが脳内でぶり返した。


口が開く。
何を言うべきかまだ決めていなかったのに。


「藤馬さんが、生きてて良かった」


紡がれたものは、ごく自然な言葉。


口にし、実感すれば思わず笑ってしまうのは当たり前だろう。


「そうだ、阿呆んだら。心配かけさせて……!」


まったくお前というやつはと、隣の五十鈴さんに至ってはご立腹らしいけど、考えていることは同じ、三人一緒に帰ってこれたと安堵している。


「……、はあ」


長い間を持ったため息が藤馬さんの口から溢れる。同時に、包帯の緩みを引っ張る右手に再度力を込めていた。