中指斬残、捌断ち儀



心臓が止まる思いとなったのは五十鈴さんも同じだろう。


ぎょっとしたに相応しい文字をつけて、影の先を見れば、そこにいたのは高い身長を更にぽっくり下駄でかさ増しした人。


「藤馬、さん……?」


疑問符をつけたのは、そこに立つ人がいつもと違う気配を纏っていたからだった。


姿形は明らかにあの人――いや、いつもと違うのは正にそこからだったか。


端切れの寄せ集めのような和装。そこから見える肌は傷つき、血で汚れている。それでも痛々しい体なのに、何よりも酷かったのが顔。詳細を言えば、顔の右半分だ。


その酷さを露見させまいと右目周囲を隠すように――ついで、切れた包帯のたゆみをなくすために彼の右手が宛がわれているが、首筋まで垂れた血は隠せていない。