「も、もう、駄目かと……怖かったな、怖い思いをしていたのに、助けられなくてすまない……。良かった、良かったぁ……」
へにゃへにゃな五十鈴さんだった。
安心しきって脱力したんだろう。僕に添えた腕はしっかりと絡み付くわりに、他の部位は項垂れるようにして僕の体にのしかかる。
重くはない、けれどもなんかその……
「五十鈴さん、あの」
「あ、す、すまない、つい。どこか痛んだか?」
「えっと……」
離れてくれた五十鈴さんに、そういう意味じゃないと言うべきか迷い、間を取ってはぐらかすことにした。
「五十鈴さんも体が、手とか足が……」
僕よりも酷いじゃないかと指摘したあたりで――影が覆い被さった。


