中指斬残、捌断ち儀



「い、や、五十鈴さんも」


「く、首に痕がついているぞ、おまえ!――って、そうに決まっているな、あんなことがあれば。他は、あ、中指はどうだっ」


五十鈴さんの右太ももの方が酷いのに、気にかける言葉を遮られて逆に心配されてしまった。


「な、中指まで……!あ、すまないっ。痛いか?触らない、もう触らないが、渉ぅ……っ」


右太ももは伸ばしたままでも他の部位は使えるらしく、座るような姿勢で座高を高くした五十鈴さん。いきなり弱気な声を出したかと思えば、抱き締められた。


五十鈴さんに及ばない身長だけど、五十鈴さんは足が長いから、こうして座ってみせれば僕の座高とそれほど大差なかったりする。


だからその状態で抱きしめられたりなどしたら、必然的に彼女の顔は僕の耳元あたりにあって――耳の裏側に彼女の涙が垂れた。