中指斬残、捌断ち儀



月並みな台詞だけど、そうとしか言えない。思わず彼女の肩を掴んで聞いてしまい、その代償で中指の痛みが働いてしまった。続けざまに砂漠となった喉に火でもつけられた気分に陥る。


「わた……、渉っ!」


寝起きの薄い目が僕を見るなりに、かっと大きく開いた。


睫毛が長い右目は不安色のみで、持ち主の心境を表しているみたいだった。


「おまえ、だ、大丈夫か!平気なのか!どこも、い、痛いところとかないのか!」


僕以上に月並み一色の五十鈴さんが、僕の顔やら腕やら首やらにペタペタ触ってきた。