中指斬残、捌断ち儀



うつ伏せに倒れていた彼女。僕よりも酷いボロボロの見た目に嫌な想像を働かせてしまったが、肩を上下していたことから呼吸はしている。


意識がないならばまだ一安心というわけじゃない。呼びかけて、起きてとその体を揺すった。


中指が使えないため、自然と他の指も不自由する。手の腹と手首辺りを彼女の体につけて揺さぶっていたが――意識ない人を無為に動かすな、と自分にたしなめられた。


倒れている人への接し方の初歩も守れないだなんて、それだけ切迫していたか。今の行為で五十鈴さんの容態が悪くなるのではと焦ったけど。


「ん、ぅ……」


五十鈴さんの顔が上がる。


肘から下を使い、僅かに起き上がった顔は右目だけが薄く開かれていた。


「五十鈴さん、大丈夫ですか……!」