中指斬残、捌断ち儀



娘を殴った男として、貞夫も義父に話しかけようものなら、爪が食い込むほどに握られた拳が飛んでくるであろう。


渉を預かる人だから、色々と知りたいと聞いてきたことをもうそろそろ止めるべきかと貞夫は喜美子に言葉をかけることさえも恐れ始めた。


また斜め上なことを言って今度こそ義父を怒らせるかもしれないを“表向き”に、貞夫は揺らぐ心を無理矢理押さえつける。


今までの言葉で異常ぶりを発揮する喜美子。


子供や夫の死さえも、“誇らしげにしているカルト女”が子育てをする絵なんて想像できない。


だからこそ、揺らいだ。


渉を預けられないと。正しい判断をしたはずなのに、頭の隅がひっそりと。


『こいつしかいない』


と囁いてきた。