皮膚の亀裂からぼとぼとと出てきたのは――中指だった。
「ひっ……!」
近場にいた渉が思わず腰を上げて逃げようとするが、上手く立てずにまた転ぶ。
それでも若干の距離はあいたか、渉は目線を逸らすことであの中に詰まっているものを見ないようにした。
即神仏代わりに切り離された中指。神となった人の媒体であり、いわば、楔だ。
魂を留まらせる楔、成仏させず転生すらも許さない“切っても切り離せない触媒”が、ここにあるということは――
「逃がさない、ため……」
肉体が朽ちて解放される魂を、未だに縛り続ける人身御供。呪われた地存続のための人柱(生け贄)として機能してしまった中指(犠牲者)たち。
どうしてこんなことが、と蠱壺の中身がひっくり返ったかのように落ちていく中指を見て、五十鈴は絶句しそうになる。


