中指斬残、捌断ち儀



「わたる、逃げろっ」


促す五十鈴の言う通りにしたがったが、竦み上がった足腰では、立ちこともままならない。


黒い影でさえこの世ならざる者としての恐怖があったというのに、より生々しい肌色で吐き気さえも覚えた。


形がなっていない壊れかけ。原型を保てない溶けかけ。


影と違うのはそこであった。あちらも不出来であるが、形状は人型であろうとし、ここまで“酷くはない”。


子供の粘土工作でさえもっと上手く作れるであろうに、そもそも“人の形”がそれには備わってなかったようだ。


備わってない。
つまりは、“生前(もと)からそうであった”と――


「消される順番ぐれえ、弁えろや!」