中指斬残、捌断ち儀



“何をそんなに、焦っている”?


五十鈴の気がかりが大きくなる一方で、渉はしめ縄を潜ろうと――儀式場の境界線から脱しようとしたその時。


「……!」


足首に、負荷がかかった。


溺れた者が苦し紛れに掴む葦代わりにされたようだった、“がっしりと捕まれてる”。


「な、ん……」


地面と言えどあやふやな黒一色の真下から、ミミズみたいに顔を出した肌色の手。――中指がない手が、どんどん顔を出してきている。


「っ……」


「わたるっ」


手を払おうと足首を無造作に振るう渉とその危機を察した五十鈴。


危機だ、まさしく。
毛色が違う恐怖が鼓動を早まらせる。


銅像となった影たちと比べて、生々しいほどに禍々しいその肌色の存在が地上に這い出た。