中指斬残、捌断ち儀



その言葉で、渉の目眩が霧散した。


悲惨な可哀想な、そうは思えど藤馬の台詞で考えさせられた。


中指の犠牲者。
確かに同情してもいい生き方と死に方をしてきた人たちだが、だからといってどうして“繰り返すことを許せる”。


恨み辛み、やりきれない気持ちもよく分かるが、それで“僕たちを傷つけても良い”と許せてしまうのか。


できるわけがない。
同情したから僕ごと大切な人を傷つけてだなんて身を差し出すだなんて言語道断だ。


五十鈴のあんな姿なんて見たくなかったし、こんな窮地にも立ちたくなかったと渉は改めて呪物(それら)のあり方を見直した。


可哀想な人たち。
理不尽な死に方をし、無惨にも吊られたままに対しての同情ではなく。恨み辛みだけで人を傷つけても何とも思わない、犠牲者だからとその行為を正当化さえもしてしまったことへ――人間を捨ててしまったことに憐憫を感じた。