「じゃ、じゃあ、今はお一人で暮らしているのですか」
百々から貰ったという神社に、と続けようとした貞夫が、明子から教えてもらったことを思い出した。
「あ、お子さんが……」
『籍を入れて、子供まで作って』との情報があったと貞夫は思い返した。
「あの子は神子だったのです」
また変な方向に行くのかと肩を落としそうになる貞夫。それに構わず、喜美子の曲がった発言は尽きることを知らなかった。
「頭冠様に認められるほどの立派な子でした。故に、現実の社会の空気が合わずに、産んでから一年経たずにあちら側へと還っていきました」
要するに死んだのかと、産まれて間もない子が死ぬだなんて同情してもいいのに、その口振りと、喜美子の“まったく悲しんでいない、むしろ嬉しそうな顔”でかける言葉を見失ってしまった。


