中指斬残、捌断ち儀



「ひ、っ……」


藤馬から聞かされたことを思い出す。


首と中指を吊し上げ、散々苦しませたあとに、“じゃきんっ”と――


「はなっ、離せっ!」


あの鋏がすぐに中指を切らないと分かってはいても、このままじっとしていれば必ず事が起きる。


手足をバタつかせて暴れようにも、無数の手が重石のように渉の自由を奪った。


「貴様ら、渉に手を出すなっ!やめ……っ、くっ、この!」


卒塔婆の檻から抜け出そうにも、姿勢からして体に力が入らないし、血を失いすぎた。こうしているだけでもじり貧であり、無理強いしているようなもの。


機転をきかして、フクロウに変化することも想定したが、こんな体じゃ飛べない。手(羽)はもとより、片足が使い物にならないとなれば、歩けもしない。


自前の鋏も“あちらに置いてきてしまった”し、この状態では持つことから四苦八苦しよう。


だとすれば、今は人の姿で制限をかける卒塔婆を押すなりして倒すのが最善となろう。


腹這いの状態で腕と足の自由が利かない固定をされては、どうあっても途方もない話になるのだが。